分類:ユリ科ネギ属の多年生葉菜
原産地:中国西部(寒暖に強い植物で、東南アジア・東アジアで古くから栽培されてきたが、ヨーロッパの国々での栽培は見られませんでした。)
日本への伝来時期:奈良時代以前。(8世紀に書かれた『古事記』に「加美良」という名で記載があります。)
主な生産地:高知県、栃木県、茨城県

🌱ニラの成分と効果
ニラにはβ-カロテンとビタミンEなどの栄養成分に富んでいます。機能成分は含硫成分すなわち「スルフィド類」によるもので、スルフィド類は体内に入ってきた発がん物質などの生体異物を体外に排出するため解毒系酵素の活性を増大させる作用をもち、血流改善や細胞膜などの酸化的老化に防御的効果があると期待されています。

 🌱収穫量と品種
2018年の収穫量は全国で59,600トンあるうち、高知県が15,400トンを占め全国1位であり、2位に栃木県、3位に茨城県と続きます。現在、利用できるニラは、葉鞘部から葉の先端部までの葉身を利用する「葉ニラ」、光を遮断して育てる「黄ニラ」、つぼみをもつ「花ニラ」の3種類があります。葉ニラの品種には荷姿が美しく香りが強い「スーパーグリーンベルト」、葉幅が広く、病気への耐性が強い「ワイドグリーン」、厚肉葉で香りと甘みが極めて強い「ニコニコ太郎」などがあります。黄ニラは栽培は特に品種は決まっていないが、葉幅の広い品種が良いとされており、十分に養成させた株で栽培することが重要です。

 🌱ニラの加工品
代表的な加工品である「餃子」の他に、ニラの含有機能成分を引き出した「ニラキムチ」と「ニラせんべい」など、料理形態が幅広く、アジアの料理には欠かせない食材です。日本では特に「ニラの卵とじ」などの汁物、「ニラがゆ」などのご飯ものが多く作られており、薬味として熊本県、鹿児島県、沖縄県の料理によく使用されています。しかし「五辛」という辛味や臭気の強い五種の野菜の一種で、五辛を食べると情欲・憤怒を増進するとして仏教では禁じられていた時期もありました。花ニラはタイ、ベトナムを中心に利用され、黄ニラは中国を中心に利用されています。中国における黄ニラは、葉ニラに比べて高級品とされ、海鮮食材とも相性が良いとされています.

参考文献:
・『大辞泉』 1995年発行
・『地域食材大百科 第2巻 野菜』 2010年発行
・農林水産省 作物統計 平成29年産都道府県別の作付面積、10a当たり収量、収穫量及び出荷量 にら
・ルーラル電子図書館:http://lib.ruralnet.or.jp/