築地仕入見学

田村 隆さん

冒頭でご紹介したように、「たむら塾」10周年を記念し、ホームページを作成することになりました。このホームページは、定期的に更新していく予定ですが、その第1回目として、お世話になっている田村さんのホームベースである「築地市場」を特集することにしました。皆さんもご存知のように、今年、2018年10月に中央卸売市場が豊洲へ移転することになっています。築地もその周辺も、大きく変わっていくことと思いますが、現時点2018年夏の築地の様子を実感していただきたいと思います。この特集は、田村さんに連れて行っていただいた市場の買い出しの様子、インタビューをさせていただいたタコ専門仲卸業者とマグロ専門仲卸業者の方々のお話を紹介します。                        

2018713()に築地市場の見学と仲卸業者の方々へのインタビューを元に作成しました。

築地本願寺 ※1

田村さんとチーム「社食研」が午前8時、築地本願寺で待ち合わせ。「社食研」とは、学院大の古家ゼミのことで、正式名称は「社会と食を研究するゼミ」です。今年は、実質的なゼミ生は、私一人なのですが、先生と昨年度の「たむら塾」に参加してくれた志賀さんの3人が、チーム「社食研」に当たります。

インド様式のエキゾチックな外観、本堂の中の美しいステンドグラスとパイプオルガン。猛暑を避けて、本堂のとても不思議な空間の中でしばし、涼ませていただきました。
パンフレットにスタンプを押し、記念のカードももらってきました。

田村さんと合流。道路を渡って、さっそく場外市場からご案内していただきました。道中では、田村さんと関わりのある店を紹介していただきました。

 

場外市場

看板がズラリと並んだ、通称「看板通り」。
そこの門をくぐってすぐのところに青果を取り扱っている内野商店があります。
田村さんは手書きのメモを元に仕入れの確認をされていました。

 

 

 

 

 

★田村メモ★  
内野さんの野菜は大小様々あり、良い商品が安く買えるのが特徴です。  

その少し先にある築地製麺所は、早朝からおじいさんが店の裏で麺を打っていて、とても美味しいとのことです。

つきぢ松露  ※2

 

 

 

 

築地で有名な玉子焼き専門店です。玉子焼きを作る工程を見させていただきました。
フライパンは自動に進んでいき、油をひく人、卵を入れる人など、それぞれ担当して4人で作業をされていました。

 

 

 

 

 

★田村メモ★ 
よほど慣れていないとフライパンに卵がくっついてしまう…まさに職人技です!

 

塩田商店

1954年創業の豆・雑穀の専門店です。    

大玉大豆は塩田商店こだわりの一品。日本一の大きい大豆です。

 

 

 

 

 

 

★田村メモ★ 
大玉大豆は一晩水に戻し、一時間蒸すと旨味が凝縮し、食感がフワフワになります。  

       

築地魚河岸 海幸橋棟  ※3

青色が特徴の「(かい)(こう)棟」に入りました。道を挟んで反対側に赤色が特徴の小田原(おだわら)橋棟」もあります。この2棟は、築地が豊洲問題で揺れた時に建てられたもので、3階の通路でつながっています。場内市場の仲卸業者の方が出店しており、水産物や青果物など品揃えが豊富です。
「海幸橋棟」の1階では、茹で蛸専門の大政本店の支店(本店は場内市場にあります)と築地 西山水産の銀鮭をご紹介いただきました。

 

★田村メモ★
塩が強い鮭はしょっぱいなと思ったら醤油をかけます。醤油には旨味があるので塩のしょっぱさと相殺されて甘くなります。
あくまでも味覚が変わるのであって体にはしょっぱいままですが…()


波除神社 
※4

以前は、周りに川があったのですが、埋め立てばかりになってしまったため、波を除けるために作られた神社が町の真ん中に来てしまったそうです。
   

鳥居をくぐって両端には、祭りで担がれる獅子頭があります。真ん中の写真はオスで重さは約1tあり、もう一つのメスは約800kgあるそうです。

 

料理に多く利用される「玉子」と「海老」を供養するための塚もありました。

 

場内市場

昔の場内市場 ※5

現在の新橋駅辺りを昔は「汐留(しおどめ)」と言っていました。貨物列車のターミナル駅でしたが、1986年に廃止されました。

 

 

 

 

 

緑で囲ってある通り、カーブを描いているのが分かります。この部分が貨物列車の終点でした。そこで荷物を降ろしてセリをしていたという歴史があったのです。市場はイギリス人の建築家が作ったので、3.11の震災ときは建物のネジが一本も落ちなかったそうです。


仲卸たちの様子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初めて場内市場に入りました。仲卸たちの掛け声が響き渡っていました。ターレ(※6)も行きかい、とてもにぎわっていました。

 

 

 

 

 

 

活きの良い海老や貝、新鮮なマグロ、普段はなかなか見ることができないものも見せていただきました。

仲卸業者へインタビュー

インタビューに応じてくださった仲卸の方は、

()大政本店 小槻 義夫さん
()樋長   飯田 統一郎さん     

のお二方です。

仲卸としての貴重なお話を伺うことができました。詳しい内容は、同サイトに掲載する「仲卸インタビュー」をご覧ください。

つきぢ田村  ※7

最後に田村さんの料亭で昼食をいただきました。

 

 

 

 

 

 

 

↓つきぢ田村のお昼限定コースメニューです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

キャビアや唐墨など初めて食べるものが多かったのですが、独特の食感や味を楽しめ、どれも美味しくいただけました。ごちそうさまでした。

以上、築地見学でした。仕入れ見学・インタビューを通して、築地の方たちの人柄に触れられ、仕入れの様子や仲卸の方の考えを知ることができました。田村さんの仕入れはご自身の買い物メモを元に、行きつけの店を回り商品を買って、その日に田村さんの店に届けてもらったり、別日に使う商品の予約や確認をするというものでした。道中、田村さんはたくさんの方々とコミュニケーションをとっていらっしゃいました。仲卸の方も人との関わりを大切にしているとおっしゃっていました。商売はコミュニケーションなしでは成立しません。私もこれから社会に出る身ですので、一層コミュニケーションを大切にしていきたいと思いました。貴重なお話をありがとうございました。


※1「築地本願寺」公式HPによると、築地本願寺は浄土真宗本願寺派のお寺で、京都の本願寺(西本願寺)が本山であり、2014年に本堂・石塀・三門門柱(正門・北門・南門)が国の重要文化財に指定された。
(参照:http://tsukijihongwanji.jp/information

※2「つきぢ松露」店舗HPの「たまご焼きができるまで~つきぢ松露の社会科見学~」によると、
①油をしいてなべを温める「油ひき」
②四角いたまご焼きを作る「よせ」
③たまご焼きをよせて、空いたスペースに油をひいて生地を足す「かえし」
④形をととのえてたまご焼きを完成させる「あげ」
の4人で玉子焼きをつくっている。
なべは2~3㎏あり、ベルトコンベアで自動に進んでいく。「都路のたまご」という新鮮で安全な卵を使っている。
(参照:http://www.shouro.co.jp/

※3「築地場外市場」公式HPの「築地魚河岸」によると、築地魚河岸は、築地市場移転後も築地の活気とにぎわいを継承するために中央区が設置した生鮮市場のこと。仲卸を経営母体とした小売り店約60軒が入居する。
(参照:http://www.tsukiji.or.jp/

※4「波除神社」公式HPによると、二つの獅子頭は「築地獅子祭り」のときに神輿のように担ぎ出される。海老塚はてんぷらを象徴とする海老の供養の塚として昭和48年に建立された。玉子塚は寿司屋・料理屋で使用した玉子への供養と古より如何に玉子が世に優れた食材であったかを人々に顕彰するために平成5年に設立された。
(参照:http://www.namiyoke.or.jp/

※5「ザ・築地市場」のHP、築地今昔物語によると、昭和10年2月、築地に広さ約23万平方メートルの東京都中央卸売市場が開設された。市場へ集まる生鮮食料品は旧汐留駅から引き込線を通して貨物で、また隅田川岸壁の桟橋から船で運ばれてきた。このため扇状の建物が建てられた。現在、東京都中央卸売市場は首都圏の食生活をまかなう生鮮食料品などの流通の一大拠点に発展し、中でも築地市場は日本最大の魚市場になった。
(参照:http://www.tsukijimarket.or.jp/                   

※6 Wikipediaによるとターレは正式名称「ターレットトラック」といい、日本の卸売市場をはじめ、工場や倉庫などで荷役用として利用されている運搬車の総称である。円筒形の動力部が回転する構造(ターレット)からこの名が付いた。市場関係者は「ぱたぱた」もしくは「ばたばた」と呼ぶ場合もある。
(参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/ターレットトラック)

 ※7「日本料理 つきぢ田村」のHPによると、つきぢ田村は築地にある日本料理店であり、五味調和の心得のもと各種宴会、昼の小懐石から各種季節料理まで承っている。私たちが食したのはお昼限定のコース料理「宮島」。料理は季節によって変わり、厳選した食材をお得な値段で提供しているとのこと。
(参照:http://www.tsukiji-tamura.com/